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カップ・マルタンの休暇小屋/コルビュジエ

南仏のイタリア国境に近い地中海に面した小さな村ロクブリュヌのカップ・マルタン (カップ岬) は、モナコ公国に隣接するコート・ダジュールのリゾート地。コルビュジエ自身と妻イヴォンヌのための休暇小屋は、海岸沿いの岩場の崖上に建つ軽食堂「ひとで軒」の増築というかたちで1952年に建てられた。方3.66m(内法)の居住空間に幅70㎝ほどの通路状入口と便所が付いただけで、食事と入浴のための機能は無く、まさしく小屋:キャバノン(cabanon)である。
下の写真は木立に覆われた丸太小屋風の休暇小屋。木軸の壁に、丸太の布挽きで出る一番外側の丸身材を張り付けている。
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すでに社会的にも経済的にも成功を収めた世界的な建築家の別荘となれば、大方の人は大規模で瀟洒な意匠を凝らした建築を想像するに違いない。それがトイレとベッドと洗面器、それに棚と机が設けられた僅か8畳ほどの住まいは、流布されているような愛妻への誕生日プレゼントと言うよりも、パリという都会での美術・建築に携わる日常から距離を置くため、紺碧の海を見晴らすこの地で生活するに足る究極の住まいで、精神の安らぎと思索を深める場を求めたように思えてくる。
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e0116578_995960.jpgCIAM (近代建築国際会議1928) の発足メンバーでもあるジークフリート・ギーディオン (1888~1968:スイス出身の都市史家で、建築・美術の評論家であり研究者。ハーバード大学客員教授時代の講義録とゼミ録をまとめた著書「時間・空間・建築」は代表作) に宛てた1954年の手紙には、「私はそこで幸せな修道僧のように生活をしている」とあったという。ここでのコルビジュエの簡素な生活や考え方は、「方丈記」の作者である鴨長明の方丈庵 (一丈3.03m四方の一室空間の住まい。京都の下賀茂神社摂社である河合神社内に復元されている) での暮らしぶりとよく比較され、人生を達観した芸術家の終の住まいとして語られることもある。
上の写真は部屋の北東側に設けられたトイレとベッドで、赤いカーテンで仕切られている。
左の写真は入口通路。絵が描かれた壁に付くドアは「ひとで軒」への通用口で、食事とシャワーは「ひとで軒」で済ませていたという。
下の写真は南東側に開く窓と机と洗面器。全体はコルビュジエが考案したモデュロール(人体寸法と黄金比の基本寸法)をもとに設計されている。
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現地の休暇小屋見学ツアー資料などによれば、コルビュジエがここにキャバノンを建てた経緯は、アイリーン・グレイ (1878~1976:アイルランド生まれの家具・インテリアデザイナーで建築家) の別荘「E1027」が、ジャン・パドヴィッチ (1893~1956:ルーマニア出身の建築家・評論家で建築雑誌の編集者) の協力のもと、1929年カップ・マルタンに完成したことに始まる。
地中海を望む白いモダニズムの家「E1027」は、建築家として最初に手掛けた住宅にして彼女の代表作となり、またその時デザインした家具の一つ「E1027サイドテーブル」は後に名品となっていく。その才能にはコルビジュエも嫉妬したという話もある。「E1027」を称賛していたコルビュジエは、1937年パリ万博での共同展示を行っており、この頃には毎年のようにカップ・マルタンの「E1027」に訪れ、1938年の滞在時には壁にフレスコ画を描いている。(コルビュジエが勝手に描き、アイリーンを激怒させたという話もある)1948年「E1027」のすぐ近くに軽食堂「ひとで軒」がオープンし、オーナーのトマ・ルビュタトとコルビュジエの付合いが始まり、1951年にはルビュタトにキャバノンのスケッチを渡し、交渉の末「ひとで軒」東側の土地を借り受け、プロジェクトがスタートして1952年に完成。その返礼として、1954年「ひとで軒」の拡張計画である宿泊施設ユニテ・ド・キャンピングの設計図を完成させ、1957年に完成を見るが予算不足で5室のみ。ちなみに、修復中であったE1027は今年の8月から一般公開が始まったようである。
下の写真は、休暇小屋に関連する建物の位置関係をGoogle Earthで見る。
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上の写真は、埼玉県行田市にある「ものつくり大学」内に作られた「カップ・マルタン休暇小屋」の原寸レプリカである。これまでにも国内外のコルビュジエ展で、休暇小屋の原寸レプリカが展示されることはあったが、そのほとんどはインテリアで、外壁の丸太の丸身材の割付まで数えて作られた例は初めてのことだろう。
下の写真2葉は室内。家具・照明器具・洗面器など、細部にわたって精巧に複製されている。
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by toshinac | 2016-10-09 09:31 | trip photos